呆け(ホウケ)対策

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呆け(ホウケ)対策
2017/12/12

年もとり、いろいろなところで老化現象が出現しています。
髪の毛が薄くなり、白くなり、しわが増え、筋力がなくなり、眼がみえなくなり、衰えはとどまるところがありません。
最近、風邪をひきました。以前は風邪などひいたこともありませんでしたが、驚くばかり。しかも治りません。免疫能が落ちているのでしょう。
トリガーは、12月初めの急変でした。日曜日の午前2時半から6時まで働き、体調を崩しました。それから風邪を引きました。火曜日当直、その次の土日曜日は東京出張と、どんどん、体力を消耗し、気管支炎となり、呼吸するのも苦しくなりました。回復するのに3週間を要しました。
これまで気にもしなかった部屋の乾燥も、ひとつの原因だったようです。睡眠時に、部屋中に洗濯物を干すことを思いつき、そこから一気に改善しました。
そんな中、自動車運転免許の更新に行きました。頭はボーッとして眼もかすみます。集中力を増すようにリポビタンD を飲みましたが効果はありません。眼がみえるように眼をマッサージし、視力検査に臨みました。検査官は流れ作業です。
主語等がなくて、「どこですか」と尋ねます。上、下、右、左の字がみえ、真ん中に小さな○(マル)がみえました。「中心です」と答えました。「中心?」と検査官様は声を荒げました。なるほど、視力検査だったのを思いだし、切れ込みがあってそれを答えるべきだったのです。笑えます。
よくみると、上に切れ込みらしきものがみえてきました。「上」ですと答えると検査官様は「合格」とのたまいました。こちらはよくみえてもいないのに合格か。
記憶力、思考力、注意力、判断力など全てが、衰えてきました。体力、判断力も落ちました。

私自身のの呆け(ホウケ)対策について考えてみたいと思います。
不適切な単語や考え方が出てきたらご容赦ください。あくまで私自身への挑戦です。

  1. 山歩き:これは以前からやっています。フレイル、サルコペニア対策に有用です。
  2. バラ:これは昨年から。
  3. 頭痛を考える:これは脳の事を考えるのに楽しい。
  4. 呆け(ホウケ)について考える:自分の記憶力の低下や考察力の低下、運動能力の低下などについて、58歳となった今日から考えたいと思います。

1, 2, 3 はそれぞれ、別のところで動いています。このページでは4(呆け(ホウケ)について考える)のところを扱っていきます。

メモ:
・ 呆け(ほうけ)、ボケ、痴呆、認知症、認知機能障害、認知、何やら紛らわしい。
定義があるのでしょう、ゆっくり考えていきます。
・ この分野では、たくさんの略語が出てきます。どこもかしこも略語ばかり。よくわかりませんが、ゆっくり考えていきます。
・ 治療方法もあまりないのに、この分野に莫大なお金をかかっています。税金です。気象庁の地震予知みたいなものでしょうか。
大変な世界ですが、ゆっくり考えていきます。医療という面もありますが、産業という面もあります。

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認知症の分類を作ってみよう---呆けているので新しいことが覚えられない---
2017/12/12

呆けているので、新しいことが覚えられません。認知症にもたくさんのタイプがあるようです。統一されたものがあるのでしょうか。きっとあるのだと思いますが、よくわかりません。
そういえば頭痛にもたくさんのタイプがありました。
頭痛の分類には、万国共通の有名な国際頭痛分類があります。1から12(14)まで分類されています。
懐かしい。一寸、みてみましょう。

【一次性頭痛】

原因が明らかでない頭痛です。

  1. 片頭痛
  2. 緊張型頭痛
  3. 群発頭痛
  4. その他の一次性頭痛 (10種類あります。)

【二次性頭痛】

脳血管障害や脳腫瘍、感染症など、他の疾患が原因で生じる頭痛です。

  1. 頭頚部外傷による頭痛
  2. 頭頚部血管障害による頭痛
  3. 非血管性頭蓋内疾患による頭痛
  4. 物質またはその離脱による頭痛
  5. 感染症による頭痛
  6. ホメオスターシスの障害による頭痛
  7. 頭蓋骨、頚、眼、耳、鼻、副鼻腔、歯、口あるいは
    その他の顔面・頭蓋の構成組織の障害に起因する頭痛あるいは顔面痛
  8. 精神疾患による頭痛

この国際頭痛分類は、呆けた脳でも、まだよく覚えています。
これを真似て、認知症の分類を作ってみましょう。

【一次性認知症】

  1. アルツハイマー型認知症
  2. 血管性認知症
  3. レヴィー小体型認知症
  4. others

これなら、なんとなく覚えられそう。
①頭痛の場合、片頭痛が大将です、ここにアルツハイマー型認知症を配置します、
②緊張型頭痛は多いのですがあまり解明が進んでいません。緊張型頭痛のイメージで血管性認知症を配置。
③群発頭痛、これはICHDⅢではもう少し難しい名前に変わっています。イメージはレヴィ小体型認知症かな、一寸苦しいでしょうか。
④その他の一次性頭痛、ここは、一次性頭痛分類のたまり場みたいなところですね。ここではothersを配置しました。
ウーン、素晴らしい。一次性頭痛に相当する部分が終了しました。
二次性認知症は、二次性頭痛による相当する部分です。
何かしらの一次的な原因があって、その原因が改善することができれば、認知症の改善が期待できるかもしれないなんてイメージです。

【二次性認知症】

  1. 頭部外傷による認知症
  2. 慢性硬膜下血腫
  3. 非血管性頭蓋内疾患による認知症
  4. 薬剤による認知症
  5. 感染症による認知症
  6. ホメオスターシスの障害による認知症
  7. 他臓器の障害に起因する認知症
  8. 神経・精神疾患による認知症
                    

⑤は頭部外傷そのままです。
⑥は、頭痛の場合は血管性なのですが、血管性認知症はすでに②で使ってしまったので、慢性硬膜下血腫や硬膜動静脈瘻による認知症をイメージしました。慢性硬膜下血腫や硬膜動静脈瘻による認知症は、原因疾患を治すと認知症が改善します。
⑦には正常圧水頭症などを想定し、非血管性頭蓋内疾患認知症による認知症を配置。
⑧はもちろん薬物乱用性頭痛(ICHDⅢでは薬剤使用過多による頭痛)ですから、これに対応して薬剤による認知症、
⑨は、プリオンなどを想定して、感染症による認知症を配置、⑩はそのままホメオスターシスとしました、
⑪は他臓器の障害に起因する認知症としましたが、これは苦しいかもしれません。
⑫はこのようにしました。
本態ならば⑬と⑭があります。現時点で、思いついたまま、このように分類しました。これから先、適宜変更していきます。

分類は決まりました。一気に各論ということにしましょう。
総論は取り組みにくいので後回しとしましょう。

                    

その前に、この分類をそれっぽくしてみましょう。

認知症分類 頭痛山歩版 ver1.2017.12.12

                
                    

本ページで使用する参考文献を下記に示します。

著者 タイトル
A 認知症疾患診療ガイドライン作成委員会 認知症疾患診療ガイドライン2017 (医学書院)
B 鈴木則宏監修、高尾昌樹編集 認知症 (中外医学社)
C 富本秀和、松田博史、羽生春夫、吉田眞理 認知症イメージングテキスト(医学書院)
D
E
F
G
H Stephen M. Stahl ストール精神薬理学エセンシャルズ第4版
I 有田秀穂 脳内物質のシステム神経生理学(中外医学社)
J 山田 正仁著 認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)
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1.アルツハイマー型認知症
2017/12/12

                            

アルツハイマー型認知症
概要

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017

概念:病理学的にアミロイド沈着(Aβ amyloidosis:大脳皮質、脳血管)と神経原線維変化(tauopathy)の二つの変化を特徴とするAlzheimer病によって、大脳皮質、海馬、前脳底部で神経細胞死、シナプス減少、Ach低下がおこり、認知症を発症した段階とされています。
主要症状は緩徐進行性の出来事記憶(episodic memory)障害に始まる記憶障害と学習の障害です。
次第に失語、遂行機能障害、視空間機能障害と人格変化などの社会的認知機能障害に伸展します。
後部大脳皮質委縮症posterior cortical atrophy、ロゴペニック型失語logopenic aphasia、前頭葉型frontal variantなどの視覚構成機能や失語、前頭葉機能障害などで発症する場合もあるそうです。

                    

病態:常染色体性優性遺伝性Alzheimer病ではAPP, PSEN1, PSEN2に多数の遺伝子変異があり、いずれの遺伝子でもAβ42産生亢進を起こすことが知られています。
amyloidβ-tauopathyカスケード仮説: Aβの産生増加、輸送、代謝の低下により、形成されたAβ凝集体(オリゴマー)がシナプスを障害し、神経原線維変化と神経細胞死を誘発し、軽度認知障害や認知症を発症する機序が考えられています。

                    

特徴的症状:
海馬・側頭葉内側面の障害:物忘れと記銘力障害、
側頭・頭頂・後頭領域障害: 語健忘、視空間性障害、失行、
側頭葉外側面の障害: 意味記憶障害、
前頭葉の障害:病識自発性の低下

                    

出来事記憶の障害が特徴的で取り繕いや振り返りがしばしばみられます。
中等度では、即時記憶障害と近い順からの長期記憶障害が進行し、意味記憶障害と失語により、使用できる単語の減少が加わります。重症例では殆んど全ての記憶が障害されます。

                    

構成失行(時計、立方体の図形の描画模写)がよくみられ、観念性失行(日常用いる道具の使用障害)、観念運動失行(口頭・視覚命令による模倣の障害)、肢節運動失行などがみられるようになります。着衣失行も中等度になるとみられます。
記憶障害とともに遂行機能能が初期にきづかれ、進行すると、行動発動の低下、保続・固執、衝動性・脱抑制がみられるようになり、自己修正が困難となります。寝たきりとなり最終的には合併症などにより死亡します。
MMSEは3.3-3.4点/年ずつ減少します。

                    

80%にBPSDを合併します。
記憶障害を有する軽度認知機能障害(amnestic MCI)では、認知症発症は1年で16%、2年で24%、3年で49%です。

                    

認知症疾患診療ガイドライン2017には上記のように記載されています。
読んでいてわからないのは、アルツハイマー病とアルツハイマー型認知症は違うのか?ということです。
Wikipediaをみてみました。アルツハイマー病は脳が萎縮していく疾患名で、アルツハイマー型認知症は、アルツハイマー病によって生じる認知症という症状だそうです。つまり認知症という症状があり、アルツハイマー病によって生じる認知症がアルツハイマー型認知症ということだそうです。かたや病名、かたや症状ということです。いいのかどうかわかりませんが適当にしときます。
大きな声では言えませんが、認知症って何でしょうか?

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アルツハイマー型認知症
診断基準

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017

認知症は、医療というより、日本(世界)の一大産業となった現在において、アルツハイマー型認知症の診断基準も一筋縄ではいきません。

DSM-5におけるAlzheimer型認知症の診断基準

  1. 認知症の診断基準に一致
  2. 少なくとも2つ以上の認知機能領域で障害が潜行性に発症し緩徐に進行する
  3. ほぼ確実な(probable)Alzheimer型認知症:1か2のどちらかを満たす
    1. 家族歴または遺伝的検査からAlzheimer病の原因遺伝子変異がある
    2. 以下の3つ全てがある
      1. 記憶・学習の低下および他の認知機能領域の低下
      2. 着実に進行性で緩徐な認知機能低下で、進行が止まることはない
      3. 混合性の原因がない(他の神経変性疾患や脳血管障害、他の神経疾患、精神疾患、全身疾患など)
    疑いのある(possible)Alzheimer型認知症:1か2を満たさない場合
  4. 脳血管障害、他の神経変性疾患、物質の影響、その他の精神・神経疾患または全身疾患ではうまく説明できない
                    

太字のところの意味が分からない。これは、認知症疾患診療ガイドライン2017 p211ですが、わからない。
2013年に発表され、認知症であり(A)、潜在性の発症と緩徐な進行(B)、他の疾患の除外(D)からなり、probableとpossible(C)からなるらしい。

                    

2011年に米国国立老化老化研究所(NIA)とアルツハイマー協会(AA)から認知症とアルツハイマー型認知症の診断基準が示されたそうです。

                    

NIA-AAによる診断ガイドライン

  1. ほぼ確実なAlzheimer型認知症
    1. 認知症があり以下の特徴を示す
      1. 数ヵ月から年余に緩徐進行
      2. 認知機能低下の客観的病歴
      3. 以下のひとつ以上の項で病歴と検査で明らかに低下
        1. 健忘症状
        2. 非健忘症状:失語、視空間失認、遂行機能
      4. 以下の所見がない場合
        1. 脳血管障害
        2. Lewy小体型認知症
        3. bvFTD
        4. 進行性失語症(semantic dementia, non-fluent/agrammaticPPA)
        5. 他の内科・神経疾患の存在、薬剤性認知機能障害
    2. 診断確実性が増したほぼ確実なAlzheimer型認知症
      • 認知機能検査で進行性の低下がある例
      • 原因遺伝子変異キャリアー
  2. 疑いのあるAlzheimer型認知症
    1. 非定型な臨床経過
    2. 他疾患の合併例
      1. 脳血管障害
      2. Lewy小体型認知症
      3. bvFTD
      4. 進行性失語症(semantic dementia, non-fluent/agrammaticPPA)
      5. 他の内科・神経疾患の存在、薬剤性認知機能障害
  3. Alzheimer病病理が存在する、ほぼ確実なAlzheimer型認知症
    1. 脳Aβ蓄積のバイオマーカー:CSF Aβ42低下、アミロイドPET陽性
    2. 2次性神経変性や障害のバイオマーカー:脳脊髄液 総タウ増加 リン酸化タウ増加 側頭・頭頂葉の糖代謝低下(FDG-PET) 側頭・頭頂葉の萎縮(MRI統計処理)
  4. Alzheimer病病理が存在する、疑いのあるAlzheimer型認知症
                    

残念ながら、認知症疾患診療ガイドライン2017 p211の記載はよくないようでした。
認知症学会で同日に購入した認知症診療実践ハンドブック(山田正仁編 p209)のほうがよいようでした。
理解したいのですが、現在のところ理解困難です。

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アルツハイマー型認知症
精神神経症候

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017

精神神経症候の特徴と診断のポイント

  1. 潜行性に発症し緩徐に進行する
  2. 近時記憶障害で発症することが多い
  3. 進行に伴い、見当識障害や遂行機能障害、視空間障害が加わる
  4. アパシーやうつ症状などの精神症状、病識の低下、取り繕い反応といった特徴的な対人行動がみられる
  5. 初老期発症例では失語症状や視空間障害、遂行機能障害などの記憶以外の認知機能障害が前景に立つことも多い
  6. 病初期から著明な局所神経症候を認めることは稀
                    

6項目、覚えきれないですね。どうしましょう。

                    

                    

                    

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アルツハイマー型認知症 画像所見

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017

CT, MRI:内側側頭葉、特に海馬の萎縮。

SPECT, FDG-PET:両側の側頭葉および頭頂葉、帯状回後部の血流や糖代謝の低下。

アミロイドPET:前頭葉、後部帯状回、楔前部のアミロイド蓄積。
アミロイドPETでは、アルツハイマー型認知症で98%、軽度認知障害mild cognitive impairment(MCI)は68%、健常高齢者では33%で陽性を示すそうです。このために高額な検査を行うことは難しですね。アミロイドPET陰性は非アルツハイマー型認知症の鑑別に有効とされています。
NIA-AA基準やIWG-2 Alzheimer病先端研究診断では必須項目とされています。


                    

とりあえず、正確ではありませんが、アミロイドPET、98(キュウハチ)、68(ロクハチ)、38(サンパチ)ラーメンと覚えよう。

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アルツハイマー型認知症
バイオマーカー

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017

脳脊髄液 Aβ42の低下、総タウあるいはリン酸化タウの上昇はアルツハイマー型認知症の診断と発症予測のバイオマーカーとしてエビデンスが明確にされています。

①Aβ42は、予測発症年齢の25年前から減少、総タウは15年前から上昇。
②NIA-AAではアルツハイマー型認知症や軽度認知障害の研究時に推奨、IWG-2 Alzheimer病先端研究診断では必須とされています。

                    

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アルツハイマー型認知症
遺伝子

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017

APOE遺伝子ε4は、強力な遺伝子的危険因子である(但し、原因遺伝子ではない)。

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アルツハイマー型認知症
病理

老人斑アルツハイマー病はドイツで開発された写真技術とBielschowsky鍍銀染色で検出された老人斑と神経原線維変化の共存がアルツハイマーにより必須病理として報告されています。
アルツハイマーが記載した老人斑は、NP(neuritic plaque)だそうです。これとは別にびまん性老人斑 DP(diffuse plaque)があり、これはNPとの一連の構造物です。NPは、古典的老人斑(classic plaque)にほぼ相当するそうですが、完全には一致しないそうです。 ①アルツハイマー病の神経病理診断基準として最初に提出されたのは、Khachaturian基準(老人斑が一定の頻度以上で認知症があればアルツハイマー病とする)だそうです。これでは、老人斑と神経原線維変化の共存がアルツハイマーにより必須病理とする根底に矛盾するのではないでしょうか。老人斑のみで診断基準とするには問題があります。
CERAD(consortium to establish registry of alzheimer disease):新皮質で、NPの多い場所で診断するそうです。
ADNI(Alzheimer's Disease Neuroimage Initiative): サロゲートバイオマーカーとして髄液Aβの位置がクローズアップされました。
DIAN(Dominantly Inherited Alzheimer disease network: 髄液Aβの低下は臨床症状の発現の10-20年前。

                    

神経原線維変化
Braak夫妻がADNFTの伸展ステージを提唱した。
これでは、StageⅠ・Ⅱでは、認知機能に影響はなく、StageⅢ・Ⅳでは軽度認知機能障害(mild cognitive impairment MCI)、Stage Ⅴ・Ⅵでは認知症を呈するそうです。

Stage拡がる範囲空欄
Stage Ⅰ移行嗅内野
Stage Ⅱ嗅内野
Stage Ⅲ海馬
Stage Ⅳ辺縁系
Stage Ⅴ連合野
Stage Ⅵ一次運動野
                    

同時にCampbell-Switzer鍍銀染色で老人斑関連Aβ沈着を示し、Stage A(新皮質), Stage B(海馬), Stage C(運動領)に到達するアミロイドステージ分類も示したそうです。

Stage拡がる範囲空欄
Stage A新皮質
Stage B海馬
Stage C運動領
                    

高齢者ブレインバンクでは、Braak ADNFT/老人斑伸展ステージ分類を作成し、ADNFTおよび老人斑とも年齢依存性の変化であることを示し、老人班が最終段階に到達しないとADNFTが新皮質に拡がらないことを示しました。
ADNFTは、徴微形態的にはpaired helical filamentの形態をとるそうです。生化学的にはADNFTは微小管結合蛋白であるタウ蛋白からなります。
タウは17番染色体にのっていて、微小管結合部位が3ヶ所(3R)か4ヶ所(4R)で2群に分かれ、ADNFTは3+4Rだそうです。

                    

アルツハイマー型老年性変化
ヨーロッパでは、BraakのADNFT伸展ステージはアルツハイマー病の診断基準の中核となり、アメリカでもこれに伴い、CERAD分類と組み合わせました。
NIHでは、抗Aβ蛋白抗体免疫染色でThal分類を用い、BraakのADNFT伸展ステーシを抗リン酸化タウ抗体免疫染色、CDRADでCPを数える評価(ABC: amyloid, Braak, CREAD)分類が提出されています。疲れます。

                    

たくさん、略語や分類でてきます。とりあえず、パスしましょう。

                    

他の変性疾患病理の合併-Lewy小体病理-

                    

他の変性疾患病理の合併-TDP43-

                    

他の変性疾患病理の合併-嗜銀顆粒-

                    

他の変性疾患病理の合併-海馬硬化-

                    

家族性アルツハイマー病

                    

日本語なのに何が書いてあるのかさっぱりわかりません。


                    

認知症 (中外医学社)では、アルツハイマー病の病理は関しては次のように記載されています。
アルツハイマー病の病理診断に必須の構造物は老人斑と神経原線維変化です。
老人斑:膜貫通型蛋白質のアミロイド前駆体蛋白質から産生されたAβが細胞外に蓄積したものです。アミロイドアンギオパシー:Aβがくも膜下腔や脳表動脈に沈着し中膜平滑筋の変性・消失をきたします。
神経原線維変化:神経細胞内の線維性構造物で、電顕では規則的なねじれを示す細管(paired helical filament)が集合しています。その構成成分は過剰にリン酸化されたタウ蛋白です。
リン酸化タウの蓄積は神経細胞体だけでなく神経突起にも及んでおり、ニューロピルの糸くず状の構造として観察されます。
アルツハイマー病変の評価にはBraakの基準が国際的に用いられており、老人斑の程度を少数(A)、中等数(B)、多数(C)の3段階、神経原線維変化を6段階(Ⅰ-Ⅵ)で示すものです。
老人斑がstage Cで、神経原線維変化がstageⅣ以上の症例が、病理学的にアルツハイマー病と診断されています。
こちらの方が簡単。

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アルツハイマー型認知症
アミロイドカスケード仮説

出典:認知症診療実践ハンドブック、認知症疾患診療ガイドライン2017

アルツハイマー病の病理学的指標のひとつの老人斑があります。
老人斑は、細胞外へのAβの蓄積、変性・腫大した神経突起、取り巻くグリア細胞により形成されています。
Aβは、膜貫通蛋白であるアミロイド前駆体蛋白(amyloid precursor protein APP)の膜貫通蛋白部分から、アミノ基断端側の細胞外の28アミノ酸残基と膜内の12(Aβ40)・14(Aβ42)アミノ酸残基までの部分が、βおよびγセレクターゼという酵素によって切断され産生されます。
Aβ42のほうが毒性が強いと考えられています。

                    

細胞外へ放出されたAβは、脳内Aβ濃度が上昇すると異常凝集し、オリゴマーが形成され、幅5nmのプロトフィル、さらに幅10nmの成熟線維(老人斑)が形成されます。

                    

Aβオリゴマーは、シナプス障害、タウによる神経原線維変化を惹起し、最終的には神経細胞死をきたします。

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アルツハイマー型認知症
薬物療法と治療薬剤の選択アルゴリズム

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、今日の治療薬2018

薬物療法と治療薬剤の選択アルゴリズム
アルツハイマー型認知症の認知症の治療薬は4剤しかありません。糖尿病の治療薬は、大げさに言うと100剤近くあるのではないでしょうか。ツムラの漢方薬は、全身の全領域で百数十種しかありません。
アルツハイマー型認知症の治療薬は、ドネペジル塩酸塩(アリセプト)、レミニール(ガランタミン臭化水素酸塩(レミニール)、リバスチグミン(イクセロン)、メマンチン塩酸塩(メマリー)の4種です。
今日の治療薬2018をみてみると、各薬剤の適応の欄には、認知症状の進行抑制とあります。
頭痛には鎮痛剤、高血圧には降圧剤、脳梗塞の予防には抗凝固/抗血小板剤が適応となります。
上記4剤の認知症の治療薬の適応は、認知症の進行の抑制です、裏を返すと決して認知症がよくなるわけではないということでしょうか。治療の概念も幅広いものだと思います。

                    

上記4剤の認知症の治療薬のうち、前者3剤は、コリンエステラーゼ阻害薬です。4番目のメマンチン塩酸塩(メマリー)は、NMDA受容体拮抗剤です。


薬剤名ドネペジルガランタミンリバスチグミンメマンチン
作用機序AChE阻害AChE阻害
nAChR
アロステリック増強
AChE阻害
BuChE阻害
NMDA受容体拮抗
適応①軽-中:5mg
②中-重:10mg
軽-中:24mg軽-中:18mg中-重 20mg
使い方①3mg(2W)→5mg
②5mg(1M)→10㎎
8mg(1M)→16㎎(1M)→24㎎①4.5mg(1M)→9mg(1M)→13.5mg(1M)→18mg
②9mg(1M)→18mg
5mg(1W)→10㎎(1W)→15㎎(1W)→20㎎(1W)
用法1日1回1日2回1日1回
パッチ剤
1日1回
半減期
(時間)
70-805-73.460-80
最高濃度到達時間
(時間)
3-50.5-181-7
代謝肝臓肝臓非CYP腎排泄
副作用
                    

ガラタミンがn、リバスチグミンがb

                    

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アルツハイマー型認知症
前脳基底部のACh線維

出典:脳内物質のシステム神経生理学、ストール精神薬理学エセンシャルズ第4版
                    

ChEI コリンエステラーゼ阻害剤アルツハイマー病で障害される海馬の神経伝達物質がアセチルコリン(ACh)であり、ChEIの開発が行なわれたそうです。

                    

AChは、神経伝達物質で、これを含有する神経はコリン作動性神経と呼ばれています。
末梢神経に多くみられ、自律神経の節前ニューロン、副交感神経の節後ニューロン、交感神経系の一部の節後ニューロン、全ての運動ニューロン、AChが伝達物質であることが知られています。
中枢神経系のACh神経はどうなっているのでしょうか。

                    

脳内のACh神経は、どんな働きをしているのでしょうか。
記憶や学習過程における修飾効果、レム睡眠や覚醒時の皮質脳波を脱同期させる機能があります。
そして、セロトニンやノルアドレナリンとは異なり、オートレセプターによる自己調節機能がなく、AChEという分解酵素があり、シナプス間隙に長くとどまらず、短時間で分解・失活されます。

中枢神経系のAch神経分布
①前脳基底部のACh神経複合核
a)大脳皮質: Meynert基底核のACh神経から大脳皮質へ広く投射があります。アルツハイマー病では、Meynert基底核のACh神経の脱落があり、大脳皮質のACh受容体(ムスカリン受容体)、ChAT、AChEの減少が明らかとなっています。
b)海馬: 内側中隔核とBroca対角帯核のACh神経から海馬への投射があります。海馬は、長期増強・θ波の発生など記憶関連の諸現象に関わりがあるが、ACh神経が関与します。
c)扁桃体: Meynert基底核のACh神経から扁桃体の基底核群と中心核に投射があります。扁桃体基底核群は、海馬と双方向性の結合があり、情動とストレス刺激に役割を有します。
d)視床: Meynert基底核のACh神経から視床に投射あり。睡眠覚醒に役割を果たします。
e)嗅結節: Broca対角帯水平亜核ACh神経から嗅結節に投射があります。

②中脳橋被蓋のACh神経複合核
中脳橋被蓋の背外側被蓋核(LDT)と橋脚被蓋核(PPT)にACh細胞が多数存在し、視床への投射があり、視床から皮質への投射を介して、レム睡眠および覚醒時の皮質脳波の脱同期に不可欠の役割をもつ。LDT・PPTのACh神経の中にはレム睡眠と覚醒時に持続的な発射を示すものがある。
a)視床:
b)前脳基底部・視床下部:
c)橋・延髄:

③線条体内部での局所回路
④内側手綱核からの回路


                    

中枢神経系のAch神経分布を図譜します。
焦点を絞るため、①前脳基底部のACh神経複合核、②中脳橋被蓋のACh神経複合核を示します。
①前脳基底部のACh神経複合核では、Meynert基底核のACh神経から大脳皮質への投射、内側中隔核とBroca対角帯核のACh神経からは海馬への投射があります。
Meynert基底核のACh神経から大脳皮質への投射は遂行注意、内側中隔核とBroca対角帯核のACh神経からは海馬への投射は記憶に関与します。
こうなると、AChがアルツハイマー型認知症に効果があるような気がします。しかし、ChEIが対症療法であるのらば、全ての認知症に効果がありそうですが、気のせいでしょうか。
②中脳橋被蓋のACh神経複合核では、背外側被蓋核(LDT)と橋脚被蓋核とから、視床への投射があります。視床から皮質への投射を介し睡眠及び覚醒に関与していると考えられています。ChEIはこの投射にはどのように関与しているのでしょうか。

説明は上記

                    

                    

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アルツハイマー型認知症 

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017

                    

                    

                    

                    

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2.血管性認知症
2017.12.12

                           

血管性認知症
概要

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)

さてさて、血管性認知症です。
基本的には、①認知症があること、②脳血管障害があること、③両者に因果関係があることの3項目をみたすことだそうです。
しかし、そんなに簡単な筈がありません。

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血管性認知症
診断基準

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017

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血管性認知症
タイプ別分類
画像診断

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017

NINDS-AIREN診断基準では下記の臨床亜型が示されています

                    
  1. 多発梗塞性認知症
  2. 戦略的な部位の単一病変による認知症
  3. 小血管病性認知症
  4. 低灌流性血管性認知症
  5. 出血性血管性認知症
  6. その他
  7.                     

覚えきれません。6つ、虚血4つ、多戦少(小)灌、出血、othersとします。
小血管病性認知症のうち、細動脈硬化症(ラクナ梗塞、白質性病変、脳出血、microbleedsなど)が原因となって認知症を発症する場合、皮質下血管性認知症とや呼ばれています。

血管性認知症の画像所見としては、
1) 最も多いタイプの小血管病性認知症では、ラクナ梗塞、白質病変が特徴的
2) 脳卒中と認知症発症の時間的関連から責任病巣が支持される場合は、多発梗塞性認知症、戦略的な部位の単一病変による認知症が該当
3) 遺伝性の血管性認知症(CADASIL、CARASIL)は、広範な白質病変、ラクナ梗塞、脳微小出血、脳萎縮を示し、側頭極における白質病変が特徴的

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血管性認知症
アルツハイマー型認知症との合併
全身合併症
危険因子の管理

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017

アルツハイマー型認知症と脳血管障害(CVD)は共通の危険因子を持つことから合併しやすい。CVDを有するアルツハイマー型認知症(AD with CVD)または混合性認知症(mixed dementia)という概念があるそうです。チョット定義がバラバラ。
久山町研究では、AD+VaDは4.7%。狭義の混合性認知症は約5%と考えられているそうです。脳血管障害の認知機能に対する影響は、進行期のアルツハイマー型認知症では影響は少ないが、初期のアルツハイマー型認知症では認知症の促進因子として作用すると考えられているそうです。

血管性認知症は、歩行障害、転倒、排尿障害、偽性球麻痺、うつなどの気分障害を認めることが多く、血管障害として虚血性心疾患・末梢動脈疾患を合併することがある。
CADASILでは、前兆を伴う片頭痛、うつ、眼底の動脈硬化性病変を伴う。
CARASILでは、認知症に加えて変形性脊椎症に伴う腰痛や禿頭を伴う。

血管性認知症の危険因子として、加齢、運動不足、脳卒中の既往、高血圧、糖尿病、肥満、心房細動、喫煙がある。
そのために、中年期の高血圧に対する降圧療法、禁煙、運動、体重管理が推奨される。
さてさて・・・・血管性認知症という前に脳卒中予防の10項目とほとんど同じ????

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血管性認知症
経過と予後

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017

血管性認知症は、脳卒中後に認知症が発症する脳卒中後認知症や脳卒中を起こすたびに認知機能が階段状に増悪することが典型的である。
一方、小血管病性認知症では、緩徐進行性の経過をとり変性性認知症と鑑別が困難だそうです。

血管性認知症の生命予後は、非認知症やアルツハイマー型認知症と比較し生命予後は短いとされています。

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血管性認知症
抗血栓療法
認知障害に有効な薬剤

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017

①抗血栓療法:認知症の一次予防のための抗血栓薬使用のエビデンスは乏しい。当たり前か?
心房細動患者には適切な抗凝固療法が認知症予防には望ましい。心房細動ではノックアウト・命を相手にしているのに机上の空論か。非心源性脳梗塞後の認知症予防のためには抗血小板薬の使用が考慮される。非心源性脳梗塞の再発予防に抗血小板療法が使用されているのに、何故、無理やりここで認知症予防?。
②認知障害に有効な薬剤:血管性認知症の中核症状の治療にはコリンエスエラーゼ阻害薬であるドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンおよびNMDA受容体拮抗薬メマンチンが進められる(適応外)。
③その他
ニセルゴリン:血管性認知症の認知機能の改善が認められています。脳梗塞後遺症に伴う慢性脳循環障害による意欲低下の改善に対して保険適応があります。私見では効いた感じありません。
アマンタジン:脳梗塞後遺症に保険適応があり、血管性認知症の意欲・自発性低下の改善に使用。私見では、効果があります。
リスペリドン:低用量(平均0.95mg/day)では、血管性認知症による攻撃性・焦燥性興奮や精神症状を緩和する。機序からすると当たり前か。
チアプリド:脳梗塞後遺症に伴う攻撃的行為、精神興奮、徘徊、せん妄の改善に保険適応を有する。私見では効く時もあるという感じ。
イチョウ葉エキス:認知症の治療に有効との報告。

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血管性認知症
脳アミロイド血管症
cerebral amyloid angiopathy(CAA)

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017

①脳アミロイド血管症は認知症発症と関連がある。br/> ②脳アミロイド血管症の有効な治療法はない。高血圧があれば脳出血予防のため降圧療法を行う。

脳アミロイド血管症cerebral amyloid angiopathy(CAA)と言えば、以前は、脳神経外科領域で、大葉性の脳出血で、高齢者に多く、出血が大量で、多発、手術をしても出血が止まりにくく手術禁忌などと考えられていました。
その後の研究で、大葉性の脳出血ばかりでなく、皮質微小梗塞や皮質微小出血などさまざまな脳血管障害に関与していることが知られています。
また、血管壁のAβに対する自己免疫反応を介し急性炎症反応を併発し、意識障害・認知機能障害を伴い、CAA関連炎症(CAA-related inflameation (CAAri))と称されるそうです。その場合、治療はステロイド、シクロホスファミドなどです。

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血管性認知症
感想

血管性認知症は、脳卒中後に認知症が発症する脳卒中後認知症や脳卒中を起こすたびに認知機能が階段状に増悪するタイプをよく経験してきましたが、緩徐進行性の経過を示す小血管病性認知症を知りました。
アルツハイマー型認知症との鑑別や合併など、いよいよ凡人には無理な話です。意味があるのでしょうか。
治療に関して、脳卒中の予防と変わりなさそうです。認知機能の改善を期待する薬剤について、アルツハイマー型認知症と変わりなさそうです。

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3.レヴィー小体型認知症
2017.12.12

                            

レヴィー小体型認知症
概要

出典:認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

DLB(dementia with Lewy body)は、1980年頃に提唱されたLewy小体病 Lewy body disease(LBD)を基礎としています。
Lewy小体病は初発症状から、錐体外路症状が最初に出現したものをパーキンソン病(PD)、認知症が最初に出現したものをDLB、著明な低血圧などの自律神経障害が最初に出現したものを純粋自律神経不全症(pure autonomic failure PAF)と呼んでいます。

病理は中枢神経系(大脳皮質、扁桃体、Meynert基底核、黒質、青斑核、縫線核、迷走神経背側核など)に多数のLewy小体およびLewy神経突起(Lewy neurite)の出現とそれに基づく神経細胞脱落がみられます。
肉眼的には大脳皮質や海馬に軽度萎縮がみられ、黒質や青斑核の色素脱落がみられます。
DLBでは、Lewy小体は大脳、脳幹、脊髄中間外側核、末梢交感神経節、内臓自律神経系、副腎髄質にもみられ、全身疾患として捉える必要があります。
認知機能障害の特徴として、PD、PDD、DLBでは、ADに比較して記憶障害が軽く、前頭葉機能障害、注意・覚醒障害、視覚性認知・視空間認知障害が目立つ。ドーパミン系の障害に加え、Ach、Nor、5HT系の障害が考えられています。

【臨床症候】DLBの特徴は、①変動する認知機能、②幻視、③RBD、④パーキンソニズムです。
抗精神病薬に対する感受性(少量の抗精神病薬投与でパーキンソニズムを引き起こす)、うつ症状、妄想、アパシー、嗅覚障害、幻視以外の幻覚、反復性の転倒と失神、一過性の意識消失などがあります。
①変動する認知機能: 注意や明晰性の変化を伴う認知機能の変動はDLBの中核的特徴。日中の眠気・傾眠性、2時間以上の昼寝、長時間のボーッとした状態など。
DLB初期には記銘力低下が前景に立つことはすくない。
②幻視: 構築された具体的な内容が繰り返される幻視。
③RBD:
④パーキンソニズム: 対称性筋強剛、寡動が主体で振戦は少ない(S・S)

【検査】
CT, MRI: 内側の側頭葉萎縮はADに比して、DLBでは軽度。
他のパーキンソニズムと認知症をきたす疾患(PSP・CBD)、多発性脳梗塞などとの鑑別も必要。DLBでも、中脳被蓋における投射核の変性に伴い、中脳背側部の萎縮が報告されいます。
SPECT, PET: 線条体のドーパミントランスポーター量を評価するSPECTが有用である。本邦では、123I-β-カルボキシヨードフェニィルフルオロピルノルトロパン(FP-CIT)(ダットスキャン)が使用可能で、線条体では集積低下がみられる。DLBとADとの鑑別に有用です。FTD、PSP、CBDでは異常を示すことが報告されています。
SWEEDとは?p247
脳代謝PETおよび脳血流SPECTにおける後頭葉の集積低下が認められる。DLBでは、ADと違い後部帯状回での代謝は比較的保たれています。cingulate island signと呼ばれています。
また、DLBでは、PDDや健常者に比較して高いアミロイド沈着を認め、併存するアルツハイマー病の程度を知ることに有用である。
123I-MIBG心筋シンチグラフィー: H/M(心臓/縦隔比)などが交感神経機能評価の指標として用いられる。SPECTで集積低下が認められる。
脳波: ポリソムノグラフィー(PSG)では筋活動抑制を伴わないレム睡眠の所見が認められる。また、周期的なα波前段階の波やθ波の混合した後頭葉の波が認められています。
その他: 生化学検査では有用なものはない。自律神経機能検査では、異常が認められる。神経心理学的検査では、大きさや形の弁別、視覚計数、錯綜図形で障害が認められる。また嗅覚検査で、嗅覚の低下が認められています。

【診断】診断基準は2017年に公表されました。二つ以上の中核的臨床的特徴が存在するか、一つの中核的臨床的特徴が存在し、二つ以上の指標的バイオマーカーが存在する場合、probable DLB(DLBほぼ確実)と診断されます。
鑑別診断にはAD、血管性認知症、PSP・CBD、CJD、複雑部分発作などが挙げられます。
PDDとDLBは同一の疾患スペクトラム(LBD)に属し、パーキンソニズムと認知症状が出現する順序の違いによって呼称が異なります。

【治療】DLBの脳病変(αシヌクレイン関連病理)の進展過程に影響を与える根本的な治療は現時点ではありません。
治療には薬物療法と、非薬物療法がある。薬物療法では、コリンエステラーゼ阻害薬ChEIは、認知機能と精神神経・行動症状の両方を改善することが示され、ドネペジル(アリセプト)が保険適応があります。
パーキンソニズムは一般的にはレボドパで治療するが、DLBでは薬剤性の意識障害や幻視を誘発することがあり、十分に注意すべきである。抗コリン剤は認知機能を悪化させるため避けるべきです。
NMDA受容体拮抗剤メマンチンは保険適応なく、症例によっては行動・心理症状を悪化させる。
DLBの幻視が日常生活に支障をきたし治療を必要とする場合は、ハロペリドールのような抗精神病薬はパーキンソニズムを悪化させるため、抑肝散やクエチアピンなどの非定型抗精神病薬を使うべきです。
RBDに対しては、一般的にはクロナゼパムが使用される。眠気やふらつきの副作用が懸念される場合はChEI、抑肝散、ドパミンアゴニストなどが用いられます。
うつと不安に対しては。三環系抗うつ剤やベンゾジアゼピン系抗不安剤は、せん妄や意識レベルの低下をきたしやすいため、SSRIやSNRIが推奨されます。
自律神経症状には、起立性低血圧・便秘などがあります。起立性低血圧に対しては、ドロキシドパ、ミドドリン、フロリネフなどが用いられ、便秘には緩下剤、モサプリド、ドンペリドンなどが用いられます。
非薬物療法にはケアや環境整備がある。

【予後】DLBでは、パーキンソニズム、認知症、幻視、自律神経障害の症状が組み合わさり、転倒による骨折、硬膜下血腫、誤嚥性肺炎などの合併症が頻度がまし、ADに比し予後が悪いと考えられています。

【ケアのポイント】

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レヴィー小体型認知症
診断基準
及び早期診断
DLBとPDDの臨床・病理学的移動

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

【診断基準】

【早期診断】病初期には、記憶障害が目立たない場合があり、記憶以外の認知機能(注意・遂行機能・視空間認知)の障害、RBD、パーキンソンニズム、自律神経症状、嗅覚障害、うつなどの有無に留意することが必要です。

【DLBとPDDの臨床・病理学的移動】①Lewy小体病(Lewy body disease: LBD)はLewy小体を病理学的特徴とする全ての病態を包括する概念です。
②DLBとPDD間に本質的な違いがあるという証拠はありません。DLBとPDDはLBDという1疾患スペクトラムで捉えられています。
③認知症がパーキンソンニズムに先行した場合: DLB、パーキンソンニズムが認知症に1年以上先行した場合: PDDとする指摘があります。

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レヴィー小体型認知症
画像診断

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

CT, MRI: DLBでは、内側の側頭葉が比較的保たれる。
SPECT, FDG-PET: 後頭葉の血流・糖代謝の低下がみられます。
ダットスキャン: 本邦では、123I-β-カルボキシヨードフェニィルフルオロピルノルトロパン(FP-CIT)(ダットスキャン)で、線条体では集積低下がみられます。
123I-MIBG心筋シンチグラフィー: SPECTで集積低下が認められる。

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レヴィー小体型認知症
経過と予後

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

認知機能障害の進行についてDLBとADに違いがないとする報告が多い。

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レヴィー小体型認知症
治療

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

治療方針:DLBには、認知機能障害、幻覚、妄想、うつ、アパシー、RBD、BPSD、錐体外路症状、自律神経症状があり、患者ごとに治療方針をたてる。
DLBに対する治療方針は、さまざまな臨床症状に対する対照的治療を計画する。
それぞれ、薬物療法と非薬物療法がある。

DLBの認知機能障害の薬物療法があるか:コリンエステラーゼ阻害薬の有効性を示す報告がある。
DLBの薬物療法アルゴリズムを示す。

DLBのBPSD、RBDに対する治療:
①BPSDに対する治療薬は、抑肝散や非定型抗精神病薬の報告があります。
②RBDに対してはクロナゼパムの有効性が報告されている。クロナゼパムが使用困難の場合、抑肝散、ラメルテオン、ドネペジルが有効とする症例報告があります。

自律神経症状に対する治療: ①起立性低血圧; 塩分摂取、臥床中の頭部拳上、弾性ストッキングなどの非薬物療法の他にドロキシドパ、ミドドリン、フルドロコルチゾンなどの薬物療法が効果的とされています。
②便秘:食物繊維と水分の摂取。酸化マグネシウム、ルビプロストン、センナ、センノシド、大建中湯などを使用します。
③排尿障害: 抗コリン剤の使用は認知機能の悪化があるため、 出来る限り控える。SSRI(パロキセチン)やSNRI(ミルナシプラン:トレドミンR)も時に有用とされています。

DLBのパーキンソニズムに対する治療: レボドパが推奨されるが、精神症状の悪化や不随意運動が出現しやすくなるため高用量は避け、ドパミンアゴニストは精神症状の悪化をきたしやすいため特に注意が必要です。

DLBの非薬物療法: 適切なケアと環境整備が推奨されています。

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レヴィー小体型認知症
概要

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

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4.others
2017.12.12

ここは、タウオパチーとする予定でしたが、タウオパチーではないものもあり、othersとしました。

4-1.前頭側頭葉変性症
                           

前頭側頭葉変性症
概要

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

前頭側頭葉変性症 frontotemporal degeneration (FTLD)は、Pick病を原型とする。
初老期に発現し、前頭葉と側頭葉を中心とし神経細胞の変性・脱落により、著明な行動異常・精神症状・言語障害などを特徴とする進行性の非アルツハイマー病で、経過中に行動障害や認知機能障害以外にパーキンソンニズムや運動ニューロン症状をはじめとする運動障害を認めることがある。
FTLDの概念・名称・分類には変遷があります。

前頭側頭葉変性症 frontotemporal degeneration (FTLD)という単語は、病理学的・遺伝的に診断がついた症例に使用されています。
臨床診断名として一般に前頭側頭葉型認知症 frontotemporal dementia (FTD)が用いられています。
日本では指定難病病名としてFTLDが採用され、認知症疾患診療ガイドライン2017では、臨床診断のみの場合も含めて、FTLDと記載されています。読む本によって記載方法が違うようです、注意が必要です。

臨床的分類
行動障害型前頭側頭型認知症(behavioral variant frontotemporal dementia bvFTD): 前頭葉萎縮を主体とする
意味性認知症(semantic dementia): 側頭極ならびに中・下側頭回の限局性萎縮を主体とする
進行性非流暢性失語(progressive non-fluent aphasia PNFA): 左優位でシルビウス裂周囲の限局性萎縮を主体とする
運動ニューロン疾患型前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia and motor neuron disease FTD-MND):経過中に運動ニューロン症状を呈する病型

病理学的分類病理学的には神経細胞やグリア細胞に特定の蛋白質が凝集して封入体を蓄積します。封入体の構成成分として、タウ蛋白、TAR DNA-binding protein of 43kD(TDP-43)、fused in sarcoma(FUS)が同定されています。
タウ蛋白は微小管結合蛋白のひとつで、C末端側に存在する微小管結合領域の繰り返し数により3リピートタウ蛋白と4リピートタウ蛋白に分類されます。
タウオパチーは、リン酸化蛋白の異常蓄積が発症機序と考えられる疾患の総称です。
さっぱりわからないので、タウオパチーはタオパチーとして土屋大鳳ちゃんに登場してもらいます。覚えやすいので。
3リピートも言いにくいのでスリーピートとします。言いやすいので。

FTLDでタウオパチーを呈する群はFTLD-tauと呼ばれているそうです。FTLD-tauには3リピートタウ蛋白が蓄積するもの(Pick病)と4リピートタウ蛋白が蓄積するもの(大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、嗜銀顆粒性認知症など)があります。
TDP-43蛋白とFUS蛋白は主に核内に存在しますが、FTLDではTDP-43蛋白、FUS蛋白ともに核から消失し細胞外で凝集しており、それぞれFTLD-TDP、FTLD-FUSと呼ばれています。

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前頭側頭葉変性症
診断基準

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

行動障害型前頭側頭型認知症(behavioral variant frontotemporal dementia bvFTD)

  1. 必須項目
    行動異常や認知機能障害が進行性で、神経変性疾患と考えられること
  2. possible bvFTD
    1. 早期の脱抑制(1-3のどれかを満たすこと)
      1. 社会的に不適切な行動
      2. 礼儀やマナーの欠如
      3. 衝動的、無分別、無頓着な行動
    2. 無関心または無気力
    3. 共感や感情移入の欠如(1-2のどれかを満たすこと)
      1. 他人の要求や感情への反応が欠如
      2. 社会的興味、他人との交流、あるいは人間的な温かみが低下
    4. 固執性、常同性(1-3のどれかを満たすこと)
      1. 単純動作の反復
      2. 強迫的または儀式的行動
      3. 常同言語
    5. 口唇傾向と食習慣の変化(1-3のどれかを満たすこと)
      1. 食事嗜好の変化
      2. 過食、飲酒や喫煙の変化
      3. 口唇的探究や異食症
    6. 神経心理学的プロフィール
      遂行機能が障害され、エピソード記憶や視空間認知は保たれる
  3. probable bvFTD(下記の全てを満たすこと)
    1. 臨床的にpossible bvFTDを満たすこと
    2. 介護者のレポートなどで社会生活への師匠が客観的に示されていること
    3. CT、MRI、脳血流画像で前頭葉・前方側頭葉の萎縮や血流低下があること

とりあえず、6項目覚えましょう。無毛、脱毛、共感、常同、食生活、遂行(し、す)

  1. 脱抑制
  2. 無気力
  3. 共感の欠如
  4. 常同性
  5. 食習慣の変化
  6. 遂行機能障害

進行性非流暢性失語(progressive non-fluent aphasia PNFA)

  1. 臨床的PNFA
    1. 中核症状(下記のどれかを満たすこと)
      1. 失文法
      2. 努力性の途切れがちな発話(発語失行)
    2. 特徴的症状(1-3のうち、2つ以上を満たすこと)
      1. 複雑な構文の文章は理解できない
      2. 単語の理解は保たれている
      3. 物品に対する知識は保たれている
  2. 画像的に支持されるPNFA(下記の全てを満たすこと)
    1. 臨床的PNFAを満たす
    2. 左半球の前頭部後部および島に優位な萎縮(MRI)または血流低下(SPECT/PET)

進行性非流暢性失語(progressive non-fluent aphasia PNFA)は言語表出(output)の障害のイメージを持ち、失文法と発語失行は覚える。

意味性認知症(semantic dementia)

  1. 臨床的SD
    1. 中核症状(下記の全てを満たすこと)
      1. 呼称能力の低下
      2. 語義の理解ができない
    2. 特徴的症状(1-4のうち、3つ以上を満たすこと)
      1. 物品に対する知識が失われている(親しみのないものほど)
      2. 表層性失読
      3. 復唱はできる
      4. 文法や語の流暢性は保たれる
  2. 画像的に支持されるSD(下記の全てを満たすこと)
    1. 臨床的SDを満たす
    2. 側頭葉前部に優位な萎縮(MRI)または血流低下(SPECT/PET)

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前頭側頭葉変性症
症候

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

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前頭側頭葉変性症
画像検査

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

行動障害型前頭側頭型認知症(behavioral variant frontotemporal dementia bvFTD): MRI/CTで、前頭葉優位で、前頭葉と側頭葉の限局的な萎縮を示します。
SPECT/PETでは前頭葉や側頭葉前部に代謝や血流低下を認め、頭頂-後頭葉は保たれます。
意味性認知症(semantic dementia): MRI/CTで、前部優位、下側頭回優位の側頭葉の萎縮を認め、通常、非対称の萎縮を示します。
病気の進行とともに前頭葉の萎縮も示すようになります。SPECT/PETでは前部優位で下側頭回優位の側頭葉に代謝や血流の低下を認めます。
進行性非流暢性失語(progressive non-fluent aphasia PNFA): MRI/CTで、左前頭葉後部から島優位の萎縮を認める。SPECT/PETでは左前頭葉後部から島優位の代謝や血流の低下を認められます。

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前頭側頭葉変性症
薬物療法
非薬物療法
指導

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

薬物療法FTLDの行動障害に対しては、SSRIの使用が推奨されていますFTLDの認知機能の改善に影響する薬剤はないそうです。
非薬物療法FTLDの症候に応じたケア、行動療法などの非薬物療法が推奨されています。
指導FTLDの症候を踏まえた家族、介護者教育が推奨されています。

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前頭側頭葉変性症

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

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4-2.進行性核上性麻痺
                          

進行性核上性麻痺
概要

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy PSP)、この疾患について調べるのは学生以来です。
PSPは、パーキンソニズムを示す疾患の中で、Parkinnson病に次いで多いそうです。中年以降に発症する孤発性の神経変性疾患で、核上性眼球運動障害(特に下方)、頚部後屈、無動、皮質下認知症を主症状とします。
さまざまな病型があり、異常なタウの沈着物があり、4リピートタウオパチー(4RT)に含まれます。

歴史的背景:1964年にRochardsonらによって体軸の固縮、無動、易転倒性、認知障害、垂直方向の核上性眼球運動障害を主徴とし病理学的に淡蒼球・黒質・視床下核・被蓋・歯状核・下オリーブ核などに神経原線維変化を認める疾患として報告されたそうです。
2017年にはInternational Parkinson and Movement Disorder Societyにより臨床診断基準(MDS-PSP criteria)が示され、10の臨床病型に分類されたそうです。
①Richardson's syndrome(PSP-RS):典型例。発症初期より姿勢反射障害 核上性垂直性眼球運動障害 転倒を認める。
②oculomotor dysfunction(PSP-OM):眼球運動障害が目立つ
③postural instability(PSP-PI):姿勢反射障害が目立つ
④Parkinson disease(PSP-P):Parkinson病が目立つ
⑤frontal sign(PSP-F):前頭葉症候が目立ち、前頭側頭型認知症に類似
⑥gait freezing(PSP-PGF):すくみ足が目立つ
⑦corticobasal-syndrome(PSP-CBS):大脳皮質基底核症候群を呈する
⑧primary lateral sclerosis(PSP-PLS):原発性側索硬化症様
⑨cerebellar sign(PSP-C):小脳失調が目立つ
⑩speech・language disorders(PSP-SL):原発性進行性失語様の言語症状が目立つ

疫学:10万人あたり5-20人、2012年度の医療受給者証保持者は8100人。高齢者の増加とともに頻度も増加傾向。
Richardson's syndrome(PSP-RS)は男性に多い。遺伝性PSPは常染色体優性遺伝。

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進行性核上性麻痺
診断基準

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

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進行性核上性麻痺
検査

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

血液検査では特徴なし。髄液検査ではタウ蛋白の増加が報告されています。
MRIではhummingbird signとよばれる中脳の萎縮、第3脳室の拡大が特徴的で、上小脳脚の萎縮もみられます。
FDG-PETや脳血流SPECTでは中脳や前頭葉、視床下核などで代謝低下、前頭葉での血流低下がみられることがあります。

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進行性核上性麻痺
病理

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

(肉眼的)脳幹部被蓋の萎縮、黒質の褪色、淡蒼球・視床下核の萎縮や変色、小脳歯状核の変色や上小脳脚の萎縮がみられます。
(神経病理)黒質、淡蒼球、視床下核、小脳歯状核、脳幹部被蓋に神経細胞脱落とグリオーシスがみられます。神経細胞内には、globose型の神経原線維変化(neurofibrillary tangle NFT)がみられます。
Gallyas-Braak染色やリン酸化タウ蛋白および4リピートのタウ蛋白に対する抗体をもちいた免疫染色により、アストロサイトの封入体であるtuft-shaped astrocyteオリゴデンドログリアの封入体であるcoiled body、threadが広く出現します。tuft-shaped astrocyteはPSPに特異的とされています。

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進行性核上性麻痺
治療と予後

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

PSPに対する有効な治療はありません。PSP-Pに抗パーキンソン病薬が有効とされています。
罹病期間は7.5年、嚥下障害による肺炎などで死の転帰を辿ります。

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4-3.大脳皮質基底核変性症 CBD
                          

大脳皮質基底核変性症 CBD
概要

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

1967年にRebeizらによって報告されました。中年期以降に発症する原因不明の神経変性疾患です。孤発例が殆んどです。有病率は1/10万人です。
左右差を伴う大脳皮質症状とパーキンソンニズム、認知機能障害を特徴とします。類似の神経症状を呈する病態が複数あり臨床的には大脳皮質基底核症候群(corticobasal syndrome CBS)と呼ばれるようになっています。
病理学的には黒質や大脳基底核の変性、神経細胞及びグリア細胞内の4リピートのリン酸化タウ蛋白の蓄積が認められ、有効な治療法はありません。

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大脳皮質基底核変性症 CBD
症状と診断基準

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

(症状)左右差のある錐体外路症状や大脳皮質の症候が特徴で、一側上肢の使いにくさで発症し非対称性の筋強剛や失行が加わることが多くみられます。
①大脳皮質の症候:肢節運動失行、構成失行、失語、他人の手徴候、皮質性感覚障害など
②錐体外路症状:振戦、筋強剛、無動などのパーキンソニズム、ジストニア、ミオクローヌスなど

CBDに典型的とされる臨床症候を示すもののうち、病理学的にCBDと診断されるのは50%にすぎません。病理学的にAD、PSP、クロイツフェルトヤコブ病やLBDで、CBD類似の症候をしめすとされています。

診断基準はあるにはあるが、特異度が低いそうです。

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大脳皮質基底核変性症 CBD
検査

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

血液検査では特徴なし。髄液検査ではタウ蛋白の増加が報告されているが特異度は低く、MRIでは非対称性の大脳萎縮が特徴的です。
FDG-PETや脳血流SPECTでは左右差を伴う大脳皮質の血流や代謝の低下が認められます。

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大脳皮質基底核変性症 CBD
病理

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

(肉眼的)典型例では、大脳皮質の中心溝周囲の前頭葉から頭頂葉領域の左右差を伴った限局性の萎縮を認められます。大脳皮質の萎縮は症例によって異なっており、大脳皮質や白質、淡蒼球や黒質に変色や褪色がみられ、視床下核や脳幹被蓋部、小脳歯状核の変性は軽いそうです。
(神経病理)大脳皮質にはさまざまな程度の神経細胞脱落とグリオーシスがみられる。大脳皮質には、ballooned neuronとよばれる胞体が腫大した神経細胞がみられます。これはCBDに特異的変化ではありません。大脳皮質の編成に加え、皮質直下の萎縮や粗鬆化を認められます。
Gallyas-Braak染色やリン酸化タウ蛋白に対する抗体をもちいた免疫染色により、大脳皮質や白質、基底核、視床、脳幹部、脊髄に神経細胞内やグリア細胞内の封入体が認められます。
神経細胞では、pretangleと呼ばれる胞体がリン酸化タウ蛋白の免疫染色でびまん性に染色され、Gallyas-Braak染色では陰性または弱陽性の構造物が特徴です。
グリア細胞封入体としては、astrocyteの突起の遠位部にリン酸化タウ蛋白の蓄積がみられ、astrocytic plaqueとよばれCBDに特異的とされます。
オリゴデンドログリア内の封入体であるcoiled bodyも認められ。ます
CBDの特徴として、neuropilや白質に大量のthreadsがみられます。
CBDで蓄積されるタウ蛋白はPSPと同様な4リピートのタウ蛋白です。

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大脳皮質基底核変性症 CBD
治療と予後

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

治療方法はない。対症療法である。予後は5-10年(平均6年である)

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PSPとCBDの相違

①ともに4リピートのリン酸化タウ蛋白の蓄積を神経細胞やグリア細胞に認める4リピートタウオパチーに分類されています。
②大脳皮質や大脳基底核、黒質の変性など、病変分布に重なりが認められますが、神経細胞やアストロサイトにおけるタウ蛋白蓄積形態に差がみられます。
③蓄積されるタウ蛋白のウエスタンブロット法による解析でバンドパターンに差がみられ蓄積されているリン酸化タウ蛋白は生化学的には同一ではありません。

4-4.嗜銀顆粒性認知症 AGD
                          

嗜銀顆粒性認知症 AGD
概要

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

嗜銀顆粒性認知症(argyrophilic grain dementia AGD)は、主に側頭葉内側部における嗜銀性顆粒(4リピートタウ)の蓄積を特徴とし、老年期の認知症の原因となります。
(頻度)AGD病変を有する高齢者が必ずしも認知症を示すわけではなく、他病変としばしば併存します。AGD病変が原因と考えられる認知症は、全認知症の5-10%と考えられ、高齢者になるほど頻度を増します。

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嗜銀顆粒性認知症 AGD
症候

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

健忘症状で発症し、易怒性や性格変化などの精神症状を伴い、緩徐進行性の臨床経過を辿ります。
これは辺縁系病変に関連し、記憶以外の認知機能は保たれています。攻撃性などの情動障害、性格変化がみられます。
健忘型MCIの原因疾患にはAGDおよびAGDと他病変の合併例がふくまれます。

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嗜銀顆粒性認知症 AGD
検査

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

CT・MRIでは内側側頭葉萎縮が認められます。萎縮が前方に優位で、左右の非対照の所見が半数にみられます。
FDG-PETや脳血流SPECTでは、側頭葉内側前方優位に左右非対称の低下がみられます。アミロイドイメージングは陰性で、Alzheimer病の髄液マーカーのAβ42とリン酸化タウについては、Aβ42は正常で、リン酸化タウも異常はみられません。

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嗜銀顆粒性認知症 AGD
病理

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

嗜銀顆粒の分布は迂回回(ambient gyrus)から側頭葉内側、辺縁系へ拡大していきます。SaitoらはステージⅠ-Ⅲに分類しています
ステージⅢの97%は他の病変合併なしにMCIあるいは認知症を示します。
迂回回に強調される側頭葉内側部前方における萎縮、側脳室下核の拡大がみられ、病変はしばしば左右非対称です。
嗜銀顆粒は過剰リン酸化されたタウ蛋白の4リピートアイソフォームが主に神経突起内に蓄積しています(4リピートタウオパチー)。
殆んどが孤発例で、タウ蛋白遺伝子に変異はありません。coiled bodiesなどのグリア内タウ陽性封入体がみられるが特異性はありません。AD、SD-NFT、DLBとの合併があります。アポ李ぽ蛋白E遺伝子(APOE)ε4は関連しません。

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嗜銀顆粒性認知症 AGD
治療と予後

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

根本的な治療はない。ADと比較すると進行は非常に緩徐である。

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4-5.神経原線維変化型老年期認知症 SD-NFT
                          

神経原線維変化型老年期認知症 SD-NFT
概要

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

加齢に関連して海馬領域を中心にNFTが出現することが知られています。
高齢者の認知症の中には、アルツハイマー型認知症と同様に海馬領域を中心にNFTを有するが老人斑をほとんど欠く一群が存在します。
神経原線維変化型老年期認知症 senile dementia of the NFT (SD-NFT)とされた、さまざまな名称があります。高齢発症タウオパチーの1つと位置つけられています。
また、認知機能正常高齢者の海馬にみられる少量のNFTからSD-NFTでみられる大量のNFTまでを含む病理単語としてprimary age-related tauopathy (PART) (原発性年齢関連タウオパチー)という単語が提案されているそうです。PART病理に伴う認知症がSD-NFTに相当するそうです。何のことやらわからなくなってきます。
(頻度)高齢者認知症剖検例の約5%を占めるそうです。最近の剖検例研究では10%以上に増加しているそうです

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神経原線維変化型老年期認知症 SD-NFT
症候

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

主症状は記憶障害です。高齢者の多くは海馬にNFTを有し、PART病理の進展と症状の関連が推定されています。
①NFTが全くない状態(Braakステージ0)は稀です
②内側側頭葉を中心に少数のNFTを有する場合は認知機能は正常範囲、それ以上に密度が増すと記憶を中心に認知機能が軽度障害されます(健忘型MCI)
③さらにSD-NFTとして記載されるような認知症の段階になります(BraakステージⅢ-Ⅳ)。

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神経原線維変化型老年期認知症 SD-NFT
検査

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

CT・MRIでは海馬領域に萎縮が認められます。大脳皮質のびまん性の萎縮は軽度であることが多いとされています。
アミロイドイメージングは陰性です。タウイメージングについては今後の検証されることが期待されています。髄液検査では、Aβ42は正常で、リン酸化タウは正常ないし軽度上昇にとどまると推定されています。

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神経原線維変化型老年期認知症 SD-NFT
病理

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

SD-NFTでは海馬傍回、海馬を含む海馬領域に大量のNFTが大量のneruopil threadsとともに分布し、神経細胞脱落・グリオーシスをともないます。
NFTは、扁桃核、島、Meynert核にもみられるが大脳皮質には稀です。NFTの分布はBraakステージⅢ-Ⅳ(limbic stage)に相当します。
NFTの超微形態(paired helical filament(PHF))、構成成分のタウ蛋白のアイソフォーム(3R+4R)、タウ蛋白のリン酸化、アセチル化などの翻訳後修飾にはアルツハイマーカ型認知症との違いはありません。しかし、老人斑(Aβ沈着)はみられず、CAAも軽微にとどまります。嗜銀性顆粒、グリアのタウ陽性封入体などが併存します。

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神経原線維変化型老年期認知症 SD-NFT
治療と予後

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)、認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)

有効な治療法はありません。コリンエステラーゼ阻害薬の効果は立証されていません。

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5.頭部外傷による認知症
2017.12.12

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6.慢性硬膜下血腫
2017.12.12

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7.非血管性頭蓋内疾患による認知症
2017.12.12→2018.07.02更新

ここでは、特発性正常圧水頭症を取り扱います。
私が脳神経外科をやっている頃は、出来るだけ足を踏み込むたくない領域でした。別の非血管性頭蓋内疾患による認知症のため、別に1項目を残しておきます。

1.特発性正常圧水頭症
                   

特発性正常圧水頭症
認知症イメージング
テキスト

出典:認知症イメージングテキスト(医学書院)

正常圧水頭症は、脳脊髄液が脳室系からくも膜下腔に流出して吸収されるまでの過程に障害があり脳室拡大を呈する交通性水頭症である。
特発性正常圧水頭症は60歳以降に発症することが多く、①認知症、②歩行障害、③尿失禁を3主徴とする。
①認知機能障害は記銘力の障害から始ることが多い。次第に判断力や見当識の障害を呈する。自発性が乏しく周囲への関心を示さず、思考や動作の緩慢が目立つ。認知症の陽性症状を示すことは少ない。
②歩行は小刻みで、幅が広い不安定な開脚歩行が特徴である。小脳失調やパーキンソニズムとは異なる。
③尿失禁は初期にはみられず、遅れて出現する。
頭蓋内圧は正常であり(200mmH2O以下)で、頭痛や嘔気などの頭蓋内圧亢進症状を伴うことはない。
疫学調査では、特発性正常圧水頭症は、高齢者の0.5-3%を示す。しばしば高血圧を有する。

【画像所見】:第3脳室、中脳水道、第4脳室、基底槽、シルビウス裂の拡大も認められる。一部の脳溝には局所的な拡大もみられる。
くも膜下腔の不均衡な拡大をともなう水頭症(disproportionately enlargement subarachnoid space hydrocephalus(DESH))とよばれる。
①冠状断での高位円蓋部の脳溝とくも膜下腔の狭小化も重要である。②Evans index(頭蓋内腔の幅に対する側脳室前核の幅)が0.3以上、③冠状断で脳梁角が90°以下、であれば特発性正常圧水頭症が示唆される。

タップテストやドレナージテストを施行して、臨床症状の改善をみることも診断の補助となる。

特発性正常圧水頭症は、健常高齢者やアルツハイマー病、ビンスワンガー病などの他の認知症疾患にもしばしば合併する
特発性正常圧水頭症のMRIでの特徴を有する無症状の高齢者をasymptomatic ventriculomegaly with features of iNPH on MRI (AVIM)とよぶ。本当に略語の多い世界です。AVIMはiNPHのリスクファクター、前臨床段階の可能性が指摘されているそうです。

特発性正常圧水頭症の診断は画像所見を含めた臨床所見が重要で、病理所見のみで診断は困難です。参考となる病理所見は、①大脳白質の髄鞘染色で広範な淡明化、②脳室壁の上衣細胞の脱落と上衣下白質の線維性グリオーシス、脳軟膜・くも膜の線維化・肥厚などが挙げられています。

ビンスワンガー病の病理像と一部共通するものがある。しかし、特発性正常圧水頭症では白質病変が脳室壁直下に最も強く、また病変分布が深部白質だけでなく脳回内部の白質まで及ぶ点が、深部白質病変を主体とするビンスワンガー病とは異なっている。
特発性正常圧水頭症の白質病変は、1次的な変化ではなく血管病変による慢性虚血などによる2次的な変化である可能性が示唆されている。また脳室に貯留した髄液の圧による血液循環障害や脳脊髄液の循環障害が白質変性に関わっている機序も推定されている。

治療はシャント手術がおこなわれる。VPシャントとLPシャントがある。圧可変式シャントバルブが使用される。臨床的3主徴が揃った症例や歩行障害が初発症状ではシャント手術による改善率が高いと考えられる。

                   

特発性正常圧水頭症
の病因・病態

出典:認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)、日本認知症学会誌

特発性正常圧水頭症はCSF循環動態の異常により脳室の拡大を生じる進行性疾患である。
脳脊髄液検査では脳圧を含め異常所見はない。
画像所見は上記に示す。

特発性正常圧水頭症は、高齢者にみられる非特異的な症状を呈するため、見過ごされやすい疾患である。主要な症状である歩行障害は緩徐に進行し他疾患と鑑別しにくい。
認知機能障害の特徴は記銘力の低下に比して無気力・無関心なことが多く、一方で易怒性がある。アルツハイマー病変(主にアミロイドβの沈着)が半数に認められる。アミロイドβは脳外に排泄されると考えられており、CSFの循環障害により、アミロイドβが脳内に沈着すると考えられる。

疫学調査:地域住民を対象とした認知症の疫学調査の再解析によるデータでは、4つの研究の加重平均によりpossiple iNPH with MRI supportの有病率は地域在住高齢者の1.6%と推定されている。
住民健診によるものであり、倫理的な面から脳脊髄液検査やタップテストは施行されていない。よってprobable iNPHやdefinite iNPHの有病率を示すものではない。
寒河江氏研究の追跡調査では、70歳住民でpossiple iNPH with MRI supportの有病率は0.37%、80歳住民で1.42%で、70歳以上のpossiple iNPH with MRI supportの罹患率は120人/10万人・年であった。
遺伝子:SFMBT1遺伝子のコピー数減少がiNPHの遺伝的素因であることが示された報告もある。

なにかしら感じる。

                   

特発性正常圧水頭症
の多施設共同研究

出典:認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)、日本認知症学会誌

特発性正常圧水頭症は、CSF循環動態の異常により、脳室系が拡大し、認知障害、歩行障害、排尿障害が潜行性に出現し緩徐にに進行する病態である。
Disproportionately Enlarged Subarachnoid space Hydrocephalus)(DESH)が重要である。

SINPHONI:特発性正常圧水頭症に対して、シャントの有効性と安全性を検証することを目的とした。

①患者選択基準が定められた。②特発性正常圧水頭症の歩行障害、認知機能障害、排尿機能障害に対してグレーディングスケールが定められた。
結果は、12ヶ月後の時点で69%の患者で改善を認めた。

SINPHONI-2:LP shuntとVP shuntの有効性は同等であった。
LPSでは63%で改善、VPSでは69%で改善がみられた。

                   

特発性正常圧水頭症
のシャント術の適応とタイミング

出典:認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)、日本認知症学会誌

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8.薬剤による認知症
2017.12.12

ここでは、薬剤による認知症をイメージします。
各種の薬剤は有害作用として認知機能障害をきたす危険性があります。
薬剤性認知機能障害の特徴を示します。
①注意力低下
②薬剤服用による認知機能障害の経時的変化
③せん妄に類似した症状を呈することがある
④薬剤中止により認知機能が改善
⑤薬剤の過剰投与により認知機能が悪化する

特に抗コリン剤をもつ薬剤、ベンゾジアゼピン系薬剤、各種の中枢神経作用薬、ヒスタミンH1/H2受容体拮抗薬、ステロイドは認知機能障害をきたしやすい。
これらの薬剤を内服している場合は、可能な限り漸減中止する。認知症と診断された60歳以上の外来患者308人中35名(11.4%)が薬剤性と診断されて、薬剤の中止で改善したとの報告がある。
特に高いエビデンスが存在するのは、①過活動膀胱治療薬(オキシブチニン)、パーキンソン病に用いられる抗コリン剤(トリフェキシフェニジルとピペリデン)、三環系抗うつ剤です。

1.精神神経疾患治療薬
                   

抗うつ剤

出典:認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)、日本認知症学会誌

高齢者に対して抗コリン作用が強い三環系抗うつ剤が問題となる。
抗コリン薬による認知機能障害としては、記憶力低下、注意力障害、焦燥感、幻視を伴うせん妄が挙げられる。

抗コリン作用の末梢性有害反応として、口渇、ドライアイ、霧視、便秘、宿便、尿閉、心拍数増加が挙げられる。。
抗コリン作用の中枢性有害反応には、認知機能障害、めまい、混乱、せん妄が挙げられる。

抗コリン薬と呼ばれる抗コリン作用が主たる効能である薬剤以外にも抗コリン作用を薬効の一部として含む薬剤は多数存在する。
個々の薬剤における抗コリン作用が強くなくても複数の薬剤に由来する抗コリン作用の蓄積(antichorinergic burden)が有害反応につながることが知られている。

                   

GABAergic薬剤
睡眠薬

出典:認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)、日本認知症学会誌

GABAは、中枢神経系で抑制性の神経伝達物質として働いており、興奮を鎮める役割を果たしている。
ベンゾジアゼピン系薬剤は、辺縁系および大脳皮質のベンゾジアゼピン受容体と関連しGABA受容体を活性化させこれらの部位の神経過剰活動を抑制し、催眠作用・抗不安作用を発揮する。
GABA-ベンゾジアゼピン系受容体は海馬を中心に存在しており、ベンゾジアゼピン系薬剤により海馬の記憶機能が抑制され記憶障害が生じると考えられている。

                                        

抗精神病薬

出典:認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)、日本認知症学会誌

抗精神病薬には定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬がある。認知症患者の行動・心理症状に対して非定型抗精神病薬が用いられることがある。BPSDに対する非定型抗精神病薬の使用は必要最低量をできる限り短期間に留めるべきである。
特にDLBは抗精神病薬に過敏症がみられるため使用に当たっては細心の注意が必要である。
定型抗精神病薬は非定型抗精神病薬と比較して錐体外路症状や過鎮静などの副作用が現れやすいためBPSDに対して特に注意が必要である。
フェノチアジン系定型抗精神病薬は抗コリン作用や過鎮静のリスクを考慮すると使用はできるだけ控えるのが無難である。

                                        

抗ヒスタミン剤

出典:認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)、日本認知症学会誌

第一世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬の短期間使用で注意力障害が認められていたが、第二世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬の短期間使用で認知機能障害は認められていない。

ヒスタミンH1受容体拮抗薬は消化性潰瘍治療薬として頻要されているが、高齢者では delirium、psychosis、confusion、disorienttationを発生する可能性がある。

                   

オピオイド

出典:認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)、日本認知症学会誌

オピオイドの使用により、deliriumがあり、鎮静作用を通じて認知機能に影響することが示されている。
トラマドールはオピオイド系薬剤で、認知機能への影響は未だ十分な調査がないが、Tramadol-abuse patientを対象に行った調査報告では記憶障害を中心とした認知機能障害が共通してみられると報告されている。

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その他

出典:認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)、日本認知症学会誌

抗精神病薬はanticholinergicとantihistaminの混ざったものと考えられている。
抗てんかん薬。phenobarbitalとprimidoneは、認知脳障害を起こす可能性が高く、levetitacetamとlamotrigineは認知機能を低下させる影響は少ない。
pregabalinは、認知機能障害をきたす可能性があるが、long term effectについては検討されていない。

2.泌尿器疾患治療薬
                   

過活動膀胱

出典:認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)、日本認知症学会誌

過活動膀胱は尿意切迫感を比数とした症状症候群です。尿意切迫感とは突然に起こる我慢できないほどの激しい病的な尿意のことをさし、失禁は必須の症状ではない。
過活動膀胱の発症メカニズムとして膀胱の異常収縮よりも、膀胱求心性神経の活動亢進が重要と考えられています。
過活動膀胱の治療では、器質的原因の有無を除外することが第一である。明らかな器質的原因が同定できない場合、体重減少、膀胱訓練、骨盤底筋体操などの行動療法、薬物療法などが行なわれる。

 

過活動膀胱に対する薬物療法は抗コリン薬であるムスカリン受容体拮抗薬が第一選択とされています。
ムスカリン受容体拮抗薬は、膀胱平滑筋、尿路上皮細胞、間質細胞、膀胱求心性神経に存在するムスカリン受容体を遮断し、Achにより活性化される膀胱求心性神経の活動を抑制します。
膀胱以外のムスカリン受容体にも作用し有害事象が発現する。便秘、霧視、口内乾燥、尿閉などです。
過活動膀胱に用いられるムスカリン受容体拮抗薬は、Beer基準2012では他の抗コリン剤とは別に分類されています。

                    
薬剤名ソリフェナシンフェソテロジンイミダフェナシンプロピベリンオキシブチニン
経皮
オキシブチニン
経口
商品名ベシケアトビエースウリトス
ステーブラ
バップフォーネオキシポラキス
半減期40hr12hr2.5hr14hr15hr1hr
レセプター
親和性
M3>M1>M2M3=M2=M1M3>=M1>M2M3=M1>=M2M3>M1>M2M3>M1>M2
膀胱親和性
特徴

FORTA分類
class
CB-DCD

オキシブチニンは、脂溶性のため脳血管関門を通過すると言われており、認知機能低下の可能性が示唆されている。
フェソテロジンは高齢者の薬理作用の安全性をみたFORTA分類で唯一 Class Bとなっています。

                    

過活動膀胱治療薬の適応のあるβ3アドレナリン受容体作動薬のミラベグロン(商品名ベタニス)は、ムスカリン受容体拮抗薬のような抗コリン作用の有害事象は発生しない。

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前立腺癌/アンドロゲン除去

出典:認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)、日本認知症学会誌

高齢者や進行している場合、前立腺癌の治療の基本はアンドロゲン除去療法です。
本邦では、LHRHアゴニストと抗アンドロゲン薬の併用によります。これにより、精巣・副腎からのアンドロゲンの作用が抑制され、体内のテストステロンは去勢域に保たれます。
低テストステロンに伴う有害事象には、ホットフラッシュ、リビドーの低下、倦怠感、抑うつなどが知られています。

低テストステロンと認知機能低下については、以前よりその関連が指摘されているが、まだ議論の分かれるところです。

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3.消化器疾患治療薬
                   

H2受容体拮抗薬

出典:認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)、日本認知症学会誌

H2受容体拮抗薬は、消化性潰瘍や逆流性食道炎などに広く使われる薬剤である。安全性は比較的高いが、頻度は低いがさまざまな有害作用がある。
中枢神経系の有害作用としては、認知機能の低下、せん妄、意識障害、眠気、頭痛などが知られている。
H2受容体拮抗薬による認知機能障害発生の機序として、①抗コリン作用を介する機序、②Vit B12欠乏を介する機序が挙げられている。
①抗コリン作用を介する機序:H2受容体拮抗薬がBBBを通過し、網様体賦活系・海馬・前庭神経核におけるヒスタミンの神経伝達機能が障害されせん妄や認知機能障害が発現すると考えられている。
②Vit B12欠乏を介する機序:H2受容体拮抗薬により胃内pHが上昇し、低酸となることが関与すると考えられている。食事により取り込まれたVit B12(蛋白質と結合)は、胃酸とペプシンにより蛋白質から切り離され、free Vit B12となりない因子と結合して回腸に運ばれそこで吸収される。
H2受容体拮抗薬により胃酸分泌が強力に抑えられ長期に及ぶとVit B12欠乏状態となる。はじめは記憶障害や無気力、集中力の低下、妄想・錯乱などの症状が出現し、進行すると亜急性連合性脊髄変性症や悪性貧血が生じる。

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PPI

出典:認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)、日本認知症学会誌

PPIを内服患者では、PPIを内服していない患者に比して、認知症発症がハザード比1.44と著明に高かった。
PPIによる認知機能低下の原因は不明である。①Vit B12の吸収障害、②PPIがAβ産生を増加させる、などが考えられている。
PPIがBBBを通過し、脳内のγ-secretaseやβ-secretaseに作用しAβ産生を増加させるためアルツハイマー型認知症を発症させるのではないかと考察されている。
一方、PPIは認知症のリスクを減少させるとの報告もある。

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制吐剤

出典:認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)、日本認知症学会誌

制吐剤は、ドーパミン2(D2)受容体拮抗薬、選択的セロトニン3(5-HT3)受容体拮抗薬、選択的ニューロキニン1(NK1)受容体拮抗薬に分類される。
一般的には、ドーパミン2(D2)受容体拮抗薬が使用される。選択的セロトニン35-HT3)受容体拮抗薬、選択的ニューロキニン1(NK1)受容体拮抗薬は、抗悪性腫瘍薬投与の際の悪心嘔吐に適応がある。

D2受容体には、中枢性と末梢性のものがある。
中枢性D2受容体は、黒質線条体、延髄第4脳室底にあるCTZ(chemoreceptor trigger zone)、下垂体に分布する。
末梢性D2受容体は、胃・十二指腸に存在し、胃内容物排出や消化管運動に関与する。

D2受容体拮抗薬にはフェノチアジン系薬、ブチロフェノン系薬、ベンザミド系薬がある。
フェノチアジン系薬、ブチロフェノン系薬は、CTZのD2受容体を阻害して制吐作用を有するが、BBBを通過し黒質線条体のD2受容体も阻害し錐体外路症状を引き起こす。
ベンザミド系薬のメトクプラミド(プリンペラン)、スルピリドは中枢性・末梢性のD2受容体を阻害し嘔気嘔吐の抑制作用を発揮し、消化管運動を促進させる。
特にメトクプラミド(プリンペラン)は、部分的5HT-4作動作用を持ち、より消化管活動を促進させる。
しかし、メトクプラミド(プリンペラン)、スルピリドもBBBを通過し、黒質線条体のD2受容体を阻害し錐体外路症状やうつなどの症状を引き起こす。

ドンペリドン(ナウゼリン)は、BBBを通過しない。BBBの外にあるCTZや末梢のD2受容体を阻害し制吐作用や消化管運動を促進させる。しかも、中枢性D2受容体拮抗作用はほとんどないという特徴がある。

中枢性D2受容体拮抗作用からくる有害作用として、錐体外路症状、うつ、パニック障害、広場恐怖症がある。認知症について記載なかった。

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消化管運動改善薬
鎮痙薬

出典:認知症診療実践ハンドブック (中外医学社)、日本認知症学会誌

①消化管運動改善薬:前述のベンザミド系薬剤とセロトニン4(5-HT4)受容体作動薬(モサプリド)がある。セロトニン4(5-HT4)受容体作動薬(モサプリド)の神経系有害作用は頭痛が報告されている。認知症記載なし。

②鎮痙薬:抗コリン作用により認知機能低下やせん妄などを誘発する危険性がある。高齢者への投与はできるだけ避けるべきである。

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9.感染症による認知症
2017.12.12

ここでは、感染症による認知症をイメージします。プリオン病、慢性髄膜炎、HIV-1関連神経認知障害、辺縁系脳炎、神経梅毒などがあります。

1.プリオン病
                             

プリオン病
概要

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)

プリオン病、私は脳神経外科医だったので、プリオン病と言えばクロイツフェルト・ヤコブ病しか思い浮かびません。特徴的なMRI所見、脳波所見等です。
その他には、手術で使用したヒト凍結乾燥硬膜(lyodura)により発症したとの報告があったことなどです。
では、プリオン病みてみましょう。

日本でのプリオン病の発症率はは100万人あたり年間1人程度で、平均67.9歳だそうです。プリオン病は五類感染症に指定され、医師は診断後7日以内に保険所に報告しなければならないそうです。
プリオン病は、孤発性・遺伝性・獲得性(感染性)の3種類があり、多いのは古典的孤発性CJDだそうです。

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プリオン病
孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の臨床的特徴と
診断基準

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)

孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)はプリオン病の7割を占め、典型例では急速進行性の認知症、小脳失調、錘体路・錐体外路徴候、四肢のミオクローヌスを呈し、数ヵ月以内に無動性無言に至り、全経過は。1-2年程度だそうです。
これとは別に緩徐に進行するタイプもあるそうです。

孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の診断基準

  1. 従来から用いられている診断基準
    1. 確実例(definite
      特徴的な病理所見、またはウエスタンブロット法や免疫染色法で脳に異常プリオン蛋白を検出
    2. ほぼ確実例(probable) 病理所見はないが、以下の1-3を満たす
      1. 急速進行性認知症
      2. 次の4項目中2項目以上を満たす
        1. ミオクローヌス
        2. 視覚または小脳症状
        3. 錘体路または錐体外路症状
        4. 無動性無言
          ミ、シ・シ、ス・ス、ム・ム
      3. 脳波上で周期性同期性放電(PSD)を認める
    3. 疑い例(possible)
      上記Bの1および2をみたすが脳波上PSDを欠く場合
  2. 拡大診断基準
    上記の診断基準のCの疑い例に入る例で、臨床上PSDがなくても脳脊髄液中に14-3-3蛋白が検出され臨床経過が2年未満の場合、ほぼ確実例とする

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プリオン病
孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の
MRI、脳波、脳脊髄液検査

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)

MRI: 拡散強調画像またはFL画像で大脳皮質と基底核(被殻・尾状核)、症例によっては視床にも高信号。

脳波: 初期には徐波化・不規則化、ミオクローヌスが出現する頃には周期性同期生放電(PSD)、末期にはPSDは消失し平坦化。

脳脊髄液検査: 脳脊髄液の外観・細胞数・蛋白質は正常、14-3-3蛋白と総タウが増加する。RT-QUIC(real-time quaking-induced conversion)により脳脊髄液の異常プリオン蛋白が検出可能。

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プリオン病
遺伝性プリオン病の種類と特徴

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)

遺伝性プリオン病は、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、Gerstmann-Straussler-Scheinker病(GSS)、致死性家族性不眠症(FFI)に分類されるそうです。
CJD、GSS、FFI
遺伝性プリオン病、プリオン蛋白遺伝子変異のV1801(CJD)、P102L(GSS)、E200K(CJD)、M232R(CJD)が多い。

V1801、M232Rは殆んど孤発例として発症。V1801は高齢発症で緩徐進行性の認知症、P102Lは小脳失調で発症し緩徐進行、E200Kは古典的孤発性CJDと同様な経過を呈するそうです。

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プリオン病
獲得性(感染性)プリオン病の種類と特徴

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)

日本で確認されている獲得性プリオン病は、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(variant CJD: vCJD)と硬膜移植関連CJD(dura mater graft-associated CJD: dCJD)の2種類だそうです。
dCJDは全世界の半数以上を占め、手術から30年以上経過して発症するそうです。2/3が非プラーク型で古典的CJDに類似した臨床像、1/3がプラーク型で比較的緩徐進行性の運動失調症状を呈するそうです。

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プリオン病
感染対策・滅菌方法

出典:認知症疾患診療ガイドライン2017、認知症 (中外医学社)

プリオン病が判明している患者のハイリスク手技に用いられた医療器具が、現在推奨されている方法は下記の通りです。
血液・組織を取り除き、3%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液で3-4分間煮沸し、ウォッシャーディスインフェクターによる洗浄後にプレバキューム方式のオートクレーブで134度10分処置する方法。

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10.ホメオスターシスの
障害による認知症
2017.12.12

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11.他臓器の障害に起因する認知症
2017.12.12

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12.神経・精神疾患による認知症
2017.12.12

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病理の論文
2019/01/22

                   

アルツハイマー型認知症
病理

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レヴィー小体型認知症
病理

出典:若林孝一:レヴィ小体型認知症の全身病理.Brain and Nerve 70: 489-500, 2018

PDおよびDLBを附き生むレヴィ小体病の病理解明に、1997年レヴィ小体の主要成分としてαシヌクレイン蛋白が同定され、この発見以降に次の点が明らかにされた。

  1. αシヌクレインはリン酸化、ユビキチン化などの修飾を受けている
  2. 正常では、αシヌクレインは前シナプスに局在しているが、病的状態では細胞体、軸索、樹状突起に線維性凝集を形成する
  3. αシヌクレインの凝集は細胞体のびまん性陽性像からpale bodyを経てレヴィ小体の形成に進む
  4. αシヌクレインの凝集はグリア細胞にも認められる
  5. αシヌクレインというマーカーを得て内臓や皮膚などでも検索されるようになった
  6. 脳内におけるレヴィ小体病理の伸展様式が明らかになった
  7. αシヌクレインは神経系を伝播していく
                    

小坂らは、レヴィ小体病をびまん型、脳幹型、移行型に分類し、びまん性レヴィ小体病(diffuse Lewy body disease DLBD)が確立しています。
DLBDは、さらに通常型(多数の老人斑と種々の程度の神経原線維変化を伴う)と純粋型(AD病変を欠く)に分類されました。
一方、DLBは脳幹型、移行型(辺縁型)、新皮質型に分類されています。DLBの新皮質型がDLBDに相当するそうです。本当に面倒くさい。DLBDは、病理学的に定義された疾患概念で、DLBは認知症の存在を必須とし病理所見を加味した疾患概念だそうです。

【レヴィ小体型認知症の中枢神経系病変】

前述の如く、DLBは脳幹型、移行型(辺縁型)、新皮質型に分類され、ここでは、DLBの多くを占める、新皮質型(DLBD通所型に相当)について述べています。

                   

脳の肉眼所見DLBDの脳萎縮は海馬を含めて軽度で、海馬を含む側頭葉内側部に高度の萎縮がみられる場合は、DLBDとADの合併を考えた方がいいそうです。脳幹では中脳黒質と青斑核に中等度の色素脱出が認められています。

                   

組織学的特徴
1)皮質型レヴィ小体:DLBDの黒質や青斑核ではメラニン含有神経細胞の脱落に加え、レヴィ小体が認められる。レヴィ小体は視床下部、マイネルト核、迷走神経背側核などにも認められる。また大脳皮質、扁桃核にも多数のレヴィ小体が認められる。
これらは、脳幹型レヴィ小体に比べると不正円形で、ハローも脳幹型ほど明瞭ではなく皮質型と呼ばれている。
2)神経突起内のαシヌクレイン蓄積:レヴィ小体の形成は神経突起にも及んでいる。
3)海綿状変化:DLBDの海馬傍回には海綿状変化がみとめられる。
4)アルツハイマー病変:DLBD通常型では種々のAD病変(老人斑と神経原線維変化)がみられる。
5)グリア病変:グリア細胞にαシヌクレインがみられる

【レヴィ小体型認知症の末梢神経系病変】

                    

1)消化管
2)唾液腺
3)心臓
4)副腎
5)骨盤神経叢
6)皮膚
7)嗅粘膜
8)その他

 
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記憶と健忘
2018/02/02

                   

記憶

                    

記憶の過程には、記銘・保持・想起の過程があります。
記憶の忘却は、これらの3過程のいずれに障害があっても出現します。
想起には、再生と再認の2種類があり、再生は、過去の経験をそのまま生成させるもので、再認は提示された刺激が既知のものかを判断させるものです。
再生はrecollectionの相当し海馬体が関与し、再認はfamiliarityに相当し、周嗅皮質が関与しているという見解があります。 記憶には、短期記憶と長期記憶という用語があります。
短期記憶は保持時間が約1分以内の記憶で、長期記憶は短期記憶よりも保持時間の長い記憶です。
臨床神経学領域では、即時記憶・近時記憶・遠隔記憶という用語があります。
即時記憶は、刺激/出来事の記銘後すぐに想起させるものです。保持時間がほとんどありません。
近時記憶は、即時記憶より保持時間の長い記憶で、記銘後、ある程度の時間(数分間から数日)が経過して想起させるものです。臨床の場面では、刺激提示後に数分で想起させることが多い。
遠隔記憶は、近時記憶よりさらに保持時間の長い記憶です。保持時間の明確な定義はありません。臨床的には患者個人の生活史(旅行や冠婚葬祭)について尋ねることが多い。
長期記憶の内容による区別として、記憶の分類図(記憶システム)があります。

記憶には、陳述記憶と非陳述記憶があります。
陳述記憶とは、イメージや言語として意識上に内容を想起でき、その内容を陳述できる記憶です。
陳述記憶は、さらにエピソード記憶と意味記憶に分類されます。
エピソード記憶は、個人が経験した出来事についての記憶で、昨日の夕食をどこで誰と食べたかなどの記憶に相当します。エピソード記憶は、付随情報とともに記憶されます。
意味記憶は、知識に相当します。意味記憶は、付随情報の記憶は消失します。
非陳述記憶は、意識上に内容を想起できない記憶で、言語などでその内容を陳述できない記憶です。
非陳述記憶には、手続き記憶、プライミング、連合学習、非連合学習などが含まれれます。
手続き記憶は、自転車に 乗れるようになるとか、上手く楽器の演奏ができるようになるという記憶です。

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健忘症候群

健忘症候群は、エピソード記憶の選択的障害をさします。意味記憶や手続き記憶には障害はみられません。
健忘症候群の特徴
①即時記憶の保存:数や単語の列を干渉をはさまずに復唱する能力は保たれる
②前向性健忘:健忘の発症以降に経験した新しい出来事に対する健忘をさす。記銘過程や想起過程の障害による生じる。
③逆向性健忘:健忘の発症以前に経験した出来事に対する健忘をさす。
保持されていた記憶痕跡の破壊や想起過程の障害による。発症時点に近い経験ほど想起しにくく、遠い経験ほど想起しやすいという時間勾配が認められる。
④知的能力の保存:知能検査は正常。
以下の症状を伴うことがある。
⑤見当識障害:自分がいまいる時間、場所を定位する能力が障害される
⑥作話:健忘に伴う、ウソをつこうとする意図がなく、表出される記憶内容の誤りをさす。
作話は、当惑作話と空想作話にわけられ、前者は記憶の欠損を埋める形式で出現し、後者は非現実的で空想的な内容で表出される。

健忘症候群に関連する脳部位として、内側側頭葉(海馬体、海馬傍回)と間脳(視床背内側、視床前核、乳頭体)が知られています。
これ以外に前脳基底部、脳弓、脳梁膨大部後域などが知られています。
エピソード記憶に関わる内側側頭葉の構造は、内側側頭葉は、海馬体(海馬、歯状回、海馬台からなる)と海馬傍回(内嗅皮質、周嗅皮質、海馬傍皮質からなる)に分けられます。
海馬体は海馬傍回(内嗅皮質、周嗅皮質、海馬傍皮質)を介して連合野からの入力を受けます。
また、海馬体は、脳弓を介して前脳基底部の中隔核と対角体核からコリン作動性入力を受けます。
一方、海馬体からの出力は、海馬傍回(内嗅皮質、周嗅皮質、海馬傍皮質)を経由して連合野に投射する回路と、脳弓を介して乳頭体、中隔核に投射する回路があります。

健忘には、内側側頭葉性健忘、視床性健忘、前脳基底部健忘、一過性全健忘などがあります。

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側頭葉性健忘

この場合の側頭葉性とは、内側側頭葉、特に海馬体(海馬、歯状回、海馬台からなる)と海馬傍回(内嗅皮質、周嗅皮質、海馬傍皮質からなる)に関連した記憶とその障害をさします。
海馬体への入力は主に海馬傍回(内嗅皮質、周嗅皮質、海馬傍皮質からなる)からの投射と脳弓を介して前脳基底部からのコリン作動性投射を受けます。
一方、海馬体からの出力は、脳弓を介して乳頭体へ至るもの(Papez回路)と、海馬傍回(内嗅皮質、周嗅皮質、海馬傍皮質からなる)に戻るものとがあります。
海馬体と海馬傍回はエピソード記憶を支える神経基盤と考えられ、記憶の心理過程の中で重要な固定化を担っていると考えられている。
H.M.の症例:切除は、側頭極から側頭葉の内側面に沿って約8㎝の範囲で、鉤、扁桃体とともに両側の海馬および海馬傍回の前2/3を破壊したとの記載されています。
その後、MRIや剖検などにより、詳細な検討がなされています。海馬体の前方では、CA1-CA4全てが損傷され、後方では、約2㎝が保存されていました。
現在では、海馬体への入力を担う内嗅皮質が損傷され、残存する海馬体も機能できなかったと考えられているようです。
その後、いろいろな症例の蓄積により、海馬の単独損傷でも有意な記憶障害は生じますが、海馬傍回まで拡がると記憶障害はより重度なものとなると考えられています。
これらの検討により、現在は、側頭葉性健忘の症候は次のようにとらえられています。
①認知機能障害を伴わない陳述記憶、特にエピソード記憶の選択的障害
②前向性、逆向性の両方向性の健忘を生じ、見当識障害を伴いうる
③知能は保たれ、短期記憶も保たれる
④手続き記憶を含めた非陳述記憶は障害されない
⑤意味記憶については議論がある

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視床性健忘

一般的には視床性健忘は海馬損傷による健忘と類似した特徴を有すると考えられています。
1999年にAggletonは内側側頭葉と視床の間の神経連絡パターンにより、海馬-視床前核及び周嗅皮質-視床背内側核の2つの記憶回路モデルを提唱しました。
視床性健忘には、①間脳・視床病変による健忘としてコルサコフ症候群、②視床梗塞による健忘があげられます。

コルサコフ症候群:アルコール依存症の栄養摂取の問題によりビタミンB1欠乏で生じる急性脳症はウェルニッケ脳症と呼ばれています。この後に重篤な健忘を後遺症として残すことがしばしばあり、コルサコフ症候群として知られています。
コルサコフ症候群は複数の間脳が障害され、視床前核が責任病巣と考えられ、これ以外にも視床背内側核、乳頭体も関与しています。
以下に特徴を示します。
①前向性健忘
②逆向性健忘
③見当識障害
④作話
⑤病識の欠如
この他に前頭葉の機能障害があり、前頭葉機能検査(語流暢性検査、Wisconsin Card Sorting test)で成績低下がみられます。

視床梗塞:エピソード記憶に重要な視床構造は複数あります。
各々が、他の脳領域と連絡しており、病巣の位置や広がりにより、健忘の特徴や程度が異なってきます。
視床灰白隆起動脈領域の脳梗塞:視床灰白隆起動脈は、後交通動脈より分岐し、視床前核よりも乳頭体視床路(Papez回路)が責任病巣として考えられています。
しかし、Papez回路に加え、周嗅皮質-視床背内側核の記憶回路も破綻しているのではないかとする報告もあります。
傍正中動脈領域の脳梗塞:これはBasilar top syndromeの一部として知られ、視床背内側核が責任部位、すなわち、周嗅皮質-視床背内側核の記憶回路の破綻と考えられています。
意識障害、垂直性眼球運動障害、前頭葉機能障害などを併発します。
視床梗塞による健忘では、意識障害、意欲の低下、前頭葉機能障害を併発することが特徴です。 コルサコフ症候群では複数の視床構造が障害され、乳頭体にも障害が及びますが、視床梗塞は病変は比較的小さい限局します。

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前脳基底部健忘

①クリニカルニューロサイエンス: 前脳基底部は、間脳と大脳皮質の接合部にあり、前脳基底部にはコリン作動性ニューロンがあり、海馬や扁桃体に投射している。この健忘は、前頭葉眼窩皮質の損傷と関係している可能性が高い。

②船山道隆(高次脳機能研究31:301-310、2011): 前脳基底部健忘は、前向性健忘、逆向性健忘に加え、作話、注意障害、人格障害が出現する。
側頭葉内側部による健忘と比較すると、前脳基底部の健忘は、自発性作話や注意障害が特徴的である。
前脳基底部は、前交通動脈からの穿通枝(脳梁下枝)から血液供給される。
前脳基底部健忘における作話は、記憶の再生過程に問題があると考えられている。
1985年 Damasioらがあげた前脳基底部の特徴を示す。
1)個々の情報は学習できるが、それらを結びつけることができない(例えば人の名前と容貌など)。
2)学習した個々の刺激に時間的な印(time-tag)をつけることができない。
3)自由気ままに空想的に作話する。作話が夢と類似したり、想像した内容が混入することがある。
4)手がかりをあたえることにより、前向性健忘に効果があるが、逆向性健忘には効果がない。
前脳基底部には、コリン作動性ニューロンが存在する。Meynert基底核は広範な大脳皮質を賦活化し、注意機能に関わる。Broca対角体核と中隔核は側頭葉内側部へ連絡を持ち学習や記憶に関わる。
ドパミン系である側坐核は中脳の腹側被蓋野からの投射を受け報酬系の中枢である。側坐核は、嗜癖、報酬、罰の予測、強化学習、誘因動機つけ、欲望の発生など、記憶の固定化に関わるという考えもある。

③森俊子(脳卒中35:281-286、2013):前脳基底部の構造:いくつかの異なる神経構造の集合体で、前頭葉眼窩面・内側面のすぐ後方で、脳梁吻・淡蒼球の下方に位置する。
どの神経組織を含めるかは研究者によって異なるが、側坐核、中隔核、Broca対角体核、Meynert基底核と呼ばれる無名質がその主要な構成要素である。

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一過性全健忘(TGA)

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